翻訳のジャンル

翻訳と一口に言ってもいろいろな翻訳があります。

その数ある種類の中に、出版翻訳と呼ばれる翻訳のジャンルが有ります。

ここではその出版翻訳についてしょうかいしています。

ところで出版翻訳の仕事に就きたいと思う人、プロの出版翻訳家になることを目指す人に対して、ここで少し現実的な問題について話しておきましょう。

現実的な問題とは経済的な問題です。

というのも出版翻訳の道を志すのなら、経済面でも是非それなりの備えをしておいていただきたい、ということです。

というのも出版翻訳の世界で、新人に回ってくる出版翻訳の仕事は、最初は部数の少ない本が殆どです。

出版翻訳の世界では、翻訳家にもたらされる報酬は印税、それに本の刷り部数とが大きく関わってきます。

刷り部数の多い書籍の出版翻訳を担当すれば同じ出版翻訳の作業でも大きな報酬が見込めますし、逆に刷り部数の少ない書籍ならば大きな報酬は望めません。

出版翻訳を手がけるようになって間もなくの頃は後者のような刷り部数の少ない書籍の出版翻訳を任されることが多いので、当然ながら当面の間は大きな収入は望めません。

またせっせと翻訳に勤しんで、例えば3カ月で単行本1冊を訳し終えるとしても、それならば一年間に翻訳をこなせるのはせいぜい4冊といったところでしょう。

しかも印税、即ち翻訳に対する報酬が翻訳家の手元に入ってくるまでにはタイムラグがあり、少なくとも半年はかかります。

翻訳家になりたての頃

従って翻訳家として芽が出るまでの間は、たとえ無収入となっても生活に困ることのないよう、周到な準備をしておいた方が無難でしょう。

このように冷静に考えてみたときには、やはり出版翻訳は、収入面で見れば不安定で厳しい側面もあることは否定できません。

勿論出版翻訳という作業そのものも難しくて、またひたすら翻訳したり文章を考えたりする作業には、時には退屈な面もあります。

では出版翻訳の仕事の魅力は一体何処にあるのでしょうか。

それは何と言っても自分の創り出した言葉を読者の手に届けるということでしょうか。

自分の言葉が書籍になって一つの世界を創り出す、作者の描き出す世界を自分の言葉で読者に伝える、もっと大きく言えば日本の文化に新しい風を吹き込むということもできます。

こうして見ると出版翻訳の文化活動としての意義と魅力には非常に大きいものがあります。

豊かな日本語を駆使し、時には自分の精神世界や人生経験等も絡ませながら作品を創り出し、そうして日本文化の広がりに寄与することです。

そこのところが出版翻訳の醍醐味だと言ってもいいでしょう。

これほどまでに大きな事業だからこそ、少々その仕事は辛くとも出版翻訳の魅力は失せることは無いのです。